2. 写真の変化
スタイリストとは本来、カメラマンとは別職です。
「イメージに沿った小物を集め、撮影現場でスタイリングする」。
ここまでが、スタイリストの仕事。
それを撮影するのがカメラマンです。
スタイリストは、カメラには触りませんが、常に「カメラから見ると、どうなるか?」を中心に仕事をしているので、構図やアングルなどの「基本のき」あたりは身についています。
真俯瞰というアングルも、当時からありました。
ただ、実際に体験したのは数えるほどです。
カメラマンが、ものすごく高い脚立の上にあがって、とても不安定な状況で撮影していたのを覚えています。
当時の私が感じていた写真の面白さとは、
「モノが立体となって平面上に表現されるところ」でした。
この感覚には、その当時の技術や流行りなども影響していると思います。
真俯瞰は、3つのアングル「真俯瞰・斜俯瞰(しゃふかん)・真横(まよこ)」の中で、唯一奥ゆきがありません。
当時は、光と影のバランスと物の位置によって作られる奥ゆきを調整し、商品を美しく見せるという撮影方法が高く評価されていました。
ですから、真俯瞰のようにカメラからみて全て同じ位置に配置されている被写体を写す、というアングルは、面白さがなかったのでしょう。